第15章 最終章
「…元気でしたよ…全然。」
少しでも悲しそうな顔をしていたなんて、悟には伝えたく無かった。
七海の言葉に、悟の頬がピクッと動いた。
そんな事を気付かない様に、七海も硝子も突っ込まなかった。
ーこの男は何がしたいのか。
探る様な目線で、悟の動向を伺った。
(凄く面白い光景だな…。)
悟に何か罰が下ればいいのに。
そんな思いが思考を占拠していた硝子は、ニヤッと笑ってその光景を見ていた。
その時に、悟のスマホからピロンと音が鳴った。
スマホを確認した悟の顔色が変わった。
「……しずくが病院に行った。」
「は?!」
悟の言葉に、思わず声を出したのは、見物人に徹底しようとしていた硝子だった。
「…しずくが病院ってどういう事だ?本当に元気だった訳?」
詰める様に悟が七海に言った。
「……特段、具合が悪そうには見えませんでした…。」