第15章 最終章
「七海がこの前岐阜に行ったらしいよ。」
「……ふーん……。」
硝子の部屋で、何をする訳でもなく、ボケッと座っていた。
「…何だ…余裕だな…。」
七海の話題をぶつけても反応の薄い悟に、硝子はガッカリした様に言った。
「……しずくが僕を愛してるって言ったんだよ…。」
呟く様に言った悟に、硝子は椅子を動かして悟に体を向けた。
「僕を愛してるって言ったしずくが、七海と付き合う訳ないだろ。」
しずくならそうだろうな。
硝子はそう思って、目を伏せた。
だからこそ、目の前の悟の態度が気に入らない。
離婚をする時に、自分が笑っている為に、ワザとしずくの心を奪いにいったのでは無いか。
往来の悟の様に、今笑っているならまだ理解出来る。
そんな傷付いた顔をするのはしずくの方のはずだ。
決して、コイツであってはならなかったのに。