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【呪術廻戦】五条悟の奥様は離婚したい【R18】

第14章 あなたの何者にもなれなかった


しずくはクイッと片手で涙を拭った。

「はぁ……ゲームはあなたの勝ちよ。
これで本当に、あなたが離婚を拒否する理由が無くなったわ。」




離婚話が出て、何度この泣き落としを見ただろう。

その度にため息しか出なかったのに。

今日はその涙を見ても、胸が締め付けられて息すら吐かなかった。




自分はこのしずくの涙に応えられない。

しずくの涙を乾かすのは、彼女の望んだ愛だけだ。




それが分かっているから、悟は手を伸ばした。

離婚届を受け取る為に。




無言で差し出された悟の手を黙って見ていた。

震えているのは自分の手だけで、悟はゆっくりと離婚届を掴んだ。




ーこれでやっと終わる。



長かった様な、短かった様な。

そんな10年が、この瞬間に終わったのだ。




しずくは最後の涙を流す様に、瞼を閉じた。




「……家まで送るよ…。」
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