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【呪術廻戦】五条悟の奥様は離婚したい【R18】

第14章 あなたの何者にもなれなかった


その時、すれ違った悟が、目隠しの奥でどんな顔をしていたかなんて。

気にする余裕すら無かった。




どうせこの人は一緒に来る訳じゃない。

そんな気持ちがあったのかもしれない。

何も言わずに部屋を出て行ったしずくに。

悟もまた声を掛ける事をしなかった。














呪に殺された人間の死体なんて、見せれるモノじゃ無かった。

だから葬儀は家族葬にした。




大切な片割れの葬いが簡素に終わっていく光景を、ただぼーっと見ていた。

不思議と涙が出ないのは、現実味の無い光景を受け入れていないからだった。

まだ拓海の声も笑顔も鮮明に覚えていて、名前を呼ばれたらいつでも振り返る様な。

そんな虚構の世界にただ1人いる様だった。




葬いの火が消えない様に、白い布を掛けられた拓海の体の横に座っていた。

何処を見ているか自分でも分からなかったけど、ふとしずくは悟を思い出した。



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