第13章 本当に僕の事分かって無いね!
悟はいつの間にか、不貞腐れた様にしずくに背を向けて寝ていた。
しずくはため息を吐いて、ベットに座った。
ギシッとしずくの重みが加わって、しずくは悟に声を掛ける。
「……あなたは私が好きなの?」
しずくのその言葉に、悟は体をしずくに向けた。
「……好きだよ。人として。」
真っ直ぐに見てくる悟に、しずくの目が細くなった。
分かっている。
しずくが聞いている『好き』はそんな意味じゃない。
「僕の愛が無いとダメなの?」
同じ様に悟の目が歪んで、しずくは俯いた。
そんなしずくに、悟は目の前にあるしずくの手を握った。
「僕は… しずくを可愛いと思っても、愛しているとは思えない。
一緒に暮らしたいのはしずくだけなのに、そこには普通の夫婦の愛情は持てない。」