第13章 本当に僕の事分かって無いね!
「旦那が具合悪いって言ってるのに、愛人ごときと過ごすなんておかしいだろ。」
愛人が居ることがおかしいのだが。
それには怒っていない様だ。
あくまで自分を優先しろと、悟は言っている。
確かに、具合が悪いのは本当の様で、その悟を置いていくには後ろ髪が引かれるのだ。
きっと七海と過ごしても彼に集中出来ないだろう。
「……七海くん……今日は………。」
かなり申し訳無さそうに、しずくは眉毛を下げて七海を断った。
このまま拐っていこうかと思うくらいには、拳が握られた。
だけど、その後ろの悟の表情にそんな気持ちも失せた。
「……分かりました……。」
結局七海は折れて、しずくの横を通り過ぎた。
その時に少し触れた七海の腕に、胸が痛くなった。
バタンとドアが閉まるのを見送って、しずくは小さくため息を吐いて、ベットの上の悟を見た。