第12章 お互いのパートナーを決めましょう
綺麗な夜景も、美味しい外食も。
悟とは過ごさなかった時間に、気持ちが昂った。
生まれて初めて知った、気持ちの昂りに。
しずくは目を伏せて、その気持ちを味わった。
ザワザワ……。
「?」
先ほどまで静かだった店内が急に騒めき出した。
ふと顔を上げると、七海まで驚いた顔をして、しずくの背後を見つめている。
今ー、私の背後に何がある?
しずくはゆっくりと振り返ると、目を見開いてその光景に釘付けになった。
しずくの目に入って来たのは。
上下黒のスエットに、足元は裸足で。
目隠しすらしていなく、青い顔をして虚な目をしている悟が立っていた。
「っお客様!」
明らかにこの場に似つかわしくない悟に、お店のウェイターが駆け寄って来る。
七海としずくは、声を掛ける事も忘れて、呆然とその悟の様子を見ていた。
驚いていたのだ。
こんな悟を見た事なんて、今まで無かったから。