第12章 お互いのパートナーを決めましょう
きっと、あの小さなハンドバッグの中には、このホテルのカードキーも入っているのだろう。
七海はしずくのハンドバッグを、目を細めて眺めて、フッと笑った。
そのカードキーをどんな顔で見せてくるのだろうか。
今から楽しみでしょうがない。
「…次のワインは何にしますか?」
七海がワインリストを見ながらしずくに聞いた。
次のワインとは?
聞かれたしずくは?マークだった。
「次の料理なら、コレなどどうですか?貴腐ワインなので飲みやすいですし。」
「………お任せするわ…。」
急に七海にリードされて、しずくはあっさり自分の力不足を思い知る。
ワインを頼んで、少し気落ちして俯いているしずくに、七海は声をかけた。
「飲みやすいワインですが、飲み過ぎないで下さいね。」
ーこの後があるのだから。
小さく、それでもはっきり聞こえた最後の言葉に、しずくは顔を赤面させて、七海はそのしずくを見て、楽しそうに笑った。