第12章 お互いのパートナーを決めましょう
部屋に残った悟が、女の子の前まで寄った。
「……名前は?」
「……小百合です…。」
少し顔を赤らめて答える小百合が、確かに昔のしずくを思い出させた。
「…僕のことは気にしないで、ゆっくりしてて…。」
そっと小百合の肩に手を置いて、口を彼女の耳元に近づけた。
「…シャワー浴びてくるから…。」
悟がそう言って、顔を赤らめた小百合の反応は。
しずくと違い、恋愛を知っている反応だった。
悟はスッと小百合から離れると、そのまま浴室に移動した。
ジャーっと水圧を強くて、頭から水を被った。
憤慨して気を失いそうだ。
全てが悟にとって申し分無い小百合は。
本家が決めて、しずくが最終的に決めた相手なのだろう。
しずくは知っていた。
初夜のあの日、恋愛経験すら無いしずくを、悟が鬱陶しいとすら思っていた事実。