第12章 お互いのパートナーを決めましょう
「…おかえりなさい。」
「…ただいま…。」
ほら、家の中に私以外の誰かが居ると分かっていても、ちゃんと帰って来た。
しずくはニッコリ笑って悟を見た。
悟はチラッとしずくの後ろに居る女の子を見て。
全て理解した様に、小さく息を吐いた。
目の前には、着飾った綺麗なワンピース姿のしずくと。
その後ろには自分好みの女の子が、少し顔を赤らめながら顔を俯かせている。
ー…一体、何の茶番なのだろうか。
自分の心がスーッと冷めるのを感じて、悟は目隠しを取った。
裸眼の悟を見て、女の子が見惚れる様にその顔を見ている。
その姿はまるで、初めて悟を間近で見た時の自分を見ている様で、思わず顔を背けたくなった。
しずくはグッと、ソファーに掛けてある上着を握った。
「…今日は帰らないわ…。」
目を伏せてそう言ったしずくと。
綺麗なその姿が、自分以外の男の元に向かうと悟に伝える。