第12章 お互いのパートナーを決めましょう
「……しずくさん、お久しぶりです…。」
悟を迎えに来た伊知地が、一緒に居るしずくを見て驚いた様に言った。
伊知地と会うのもかなり久しぶりだった。
「伊知地さん…お元気そうで……。」
あまり顔色の良く無い伊知地への社交辞令だった。
彼の顔色が良く無いのは、最近の悟の機嫌の悪さからだった。
そんな事は、伊知地もしずくもお互いの顔を見合わせて分かっていた。
「伊知地早く出して〜。」
その言い方…。
しずくは更に顔色が悪くなる伊知地を見ながら、ため息を吐いた。
高専に着くとしずくは懐かしさに目を細めた。
つい最近硝子の診療を受けたばかりだが、あの時はこうして懐かしさに気持ちを馳せる事は無かった。
最後に制服を着て、東京校に来た時は、悟に硝子を紹介してもらった時だった。
その時もこうして悟は黙ってしずくの隣に居た。