第10章 これは愛ではありません
くだらない気遣いにため息が出そうだ。
悟はしずくの心情を考えて、苛立ちで笑みが漏れる。
「ただいま、しずくお土産。」
悟が小さい梱包された箱を開けると、中にはチョコレートが入っていた。
一粒取ってしずくの口の中に押し入れる。
チョコレートの中にバーボンが入った味に、悟が食べれないチョコレートに目を顰めた。
味は美味しくて広がるビターチョコレートの味とバーボンの味が口の中に広がった。
悟が指に触れて付いたチョコレートをベロッと舐めた。
目隠しをしているくせに、その時の悟の表情が分かる様だった。
色っぽいその仕草に、しずくは顰めた目を伏せた。
「…僕もシャワー浴びようかな。」
しずくの紅潮された伏せている顔を見て、悟は残りのチョコレートが入った箱をしずくに渡してリビングを出た。
貰ったお土産に罪は無い。
悟から貰ったお土産に胸をときめかせている訳じゃ無い。