第10章 これは愛ではありません
(…美味しい…。)
しずくは2個目、3個目をパクッと食べた。
いつも貰うお土産は悟と共有だ。
自分が食べたい物をしずくに買ってくる。
初めて自分のためだけに買ったお土産に、少し胸が弾んだだけだ。
たったそれだけのときめきだった。
それが、何故こうなったのか…。
「うっ……はぁ……。」
リビングで横たわってうずくまっているしずくを見下ろして、悟は笑った。
まだ乾いていない髪をフェイスタオルで拭いながら、悟はその光景が面白そうに、笑顔を見せて、しずくを見下ろしていた。