第10章 これは愛ではありません
「何で離婚話が出てるのに、ご機嫌なんだよ…。」
ニコニコと自分の前に居る悟に、硝子は怪訝な顔をする。
「毎日が楽しくて…、昨日も甘い夫婦プレイで悔し泣きする しずくがたまらなかった…。」
楽しそうに話す悟に反吐が出そうだ。
「プレイかよ…。」
毎日屈辱に泣いている しずくを思ったら、勝手に眉間に皺がよる。
「…別に夜だけじゃ無いよ、2人で寝具を買いに行ったんだ、手を繋いで…。」
あの時の心底嫌そうな顔をした しずくが、また悟の加虐心に火を付ける。
この男は何処まで しずくを傷付ければ気が済んで離婚するのだろうか。
同級生の曲がった性癖に嫌気が出る。
「…自分が傷付けられたなら、それ以上相手を傷付けなくちゃ気が済まないって?」
はっと乾いた笑みを漏らして硝子が言った。
その軽蔑を向けた眼差しを受けながら、悟はニッコリ笑った。
「そうだよ。」