第2章 離婚して下さい
それは初めて会った時から同じだった。
悟は嫁候補が自分に好意を寄せているのを見て、ウンザリした様な顔をしていた。
しずくは初めて悟を見た時に、その顔の端麗さに目を奪われた。
あまりにも悟の目が綺麗で、あの整った顔が表情を作り動くのが不思議で、ずっとその顔を見ていた。
初めから自分が選ばれるはずが無いと思っていたので、悟の周りに女性が居るのを遠くから眺めているだけだった。
一瞬悟と目が合った気がした。
その時はそれだけで恥ずかしくて、顔を赤らめて目を逸らした。
そんな悟が自分と結婚すると言った時。
確かにこの胸は高鳴った。
結婚式で笑っている悟の顔を見上げながら、自分は悟を好きになると。
確かな胸の期待に夢を描いて、この結婚をしたのだ。
まぁそんな気持ちはすぐに無くなったけど。
しずくは昔を思い出しながら、フッと顔が無表情になる。