第10章 これは愛ではありません
落ち着こう…悟はワザと怒らせているのだ。
ここで苛々していたら、悟を喜ばせるだけだ。
「…疲れない?悟。」
「意外に平気。後1週間はいける。」
短か……。
こんな普通の結婚生活すら、努力しなきゃ出来ない悟。
一生懸命に、自分を好きにさせようと頑張ってる悟が面白かった。
しずくは前屈みになっていた体を、悟に預けて彼を見上げた。
「…ホント…無駄に顔がいいからムカつく…。」
そう言って笑って無防備に見上げたしずくに、胸が高鳴った。
「!?」
初めて見る子供の様な笑顔に、悟は戸惑った。
「まぁ、こんな事で好きにはなったりしないけど。」
そう言って上ろうとしているしずくの体を押さえ込んだ。
「?何?」
びっくりして、しずくを見ると、戸惑った顔をした悟が、それでも笑みを作りながら見ている。
「?!」
急にキスをされて、しずくは思わず体を引いた。