第10章 これは愛ではありません
別にスマホを見なくても、その化粧が家用なのか外出用なのか位は分かる。
「…………。」
何も言わないしずくを黙って見ている。
何をしてきたのかは、その服の下の下着でも見れば分かるだろうか。
そう考えて、ニッコリ笑う悟の笑顔にゾクリとする。
「自分で片付けるから、先にお風呂入りなよ。」
「……………。」
住みにくい。
普通の夫婦はこんな生活なのだろうか。
気持ちが無いからこんなにも気に障って全然落ち着かないのだろうか。
それともやはり、『悟』だからこんなに気になってしまうのだろうか。
「…………。」
湯船に浸かって、しずくは考える。
自分もまた、悟との同居の様な生活に慣れてしまった様だ。
「しずく、僕も入る。」
「💢」
何の伺いも無く入って来る悟に、殺到しそうになる。
これはハニートラップでは無くて、ただの嫌がらせだ。
「…狭い💢」
「この狭さがいいよねぇ、こうやってくっ付けるから。」