第9章 とても変な夫婦関係です
部屋に戻って見た光景に、しずくは固まった。
食事の後を片付けて貰って、敷かれている2組の布団が並んでいる。
即決で悟の新しい奥さんを決めれなかった後悔がしずくを襲う。
「策士策に溺れる。」
「💢」
そう言ってさっさと部屋に入って行く悟に、イラッとした。
「布団かぁ…小さいなぁ、体出ないかな?」
さっさと布団に横になる悟を無視して、しずくはくっ付いている布団をズルズルと引き離す。
「僕の体が出ちゃうから付けてよ、しずくは小さいから端っこで寝ればいいでしょ。」
せっかく離した布団を簡単に片手で元に戻す。
「横には出ないでしょ。」
グッと布団を再び離そうとするが、どんなに力を入れても、悟の片手にも敵わない。
しばらく無言の引っ張り合いを続けたが、結局諦めるのはしずくだ。
しずくはガックリと布団から手を離すと、同じ部屋で寝る事が初めてだと言う事に気が付いた。