第8章 私の初恋でした
「僕と結婚しよう、しずく。」
多分、人生で1番言う事が無かった台詞を、悟はしずくに囁いた。
しずくは今、自分が何を言われているか、理解出来ていなそうだ。
小さく口を開けて、悟を瞬きもしないで見上げている。
悟の言葉を理解すると、しずくは急に顔が真っ赤になった。
「っそれはっ…お断りしました!」
バッと悟から顔を逸らして、しずくは慌てて答えた。
「……何で断ったの?」
2度も断られて気分が悪い。
「……私には荷が重い格式のお家ですので…。」
目を伏せながらそう言うしずくに、悟の目が細くなる。
しずくの顎を悟が掴むと、上に向かせた。
「僕の奥さんはしずくしか考えられない…。」
自信満々でそう言う悟に、しずくは目が細くなり顔が赤くなる。
やっぱり、しずくしかいない。
ゆっくりと頷くしずくを見ながら、悟はそう確信した。