第8章 私の初恋でした
簡単にその塀を乗り越えると、悟は敷地内を見下ろす。
(……あそこか……。)
ちょうど良く自分の部屋の様で、周りに人の気配が無い。
それじゃあ……。
僕の奥さんを迎えに行くか。
ガタッと窓が鳴って、しずくは顔を歪めながら襖を開けた。
「?!」
昨日見たばかりの五条悟がそこに立っていて、しずくはびっしりして悲鳴を上げそうになった。
すぐに悟がしずくの口を塞いで、その声を殺した。
「…しー……、静かにして…。」
そう優しく笑う悟に、心臓が飛び出そうになるも、しずくはゆっくりと頷いた。
顔を真っ赤にして、悟の言う事を聞くしずくに、悟は満足そうに笑った。
僕の目に狂いは無さそうだ。
「……何故五条さんがここに居るんですか?」
勝手に部屋に入ってくる悟に、しずくは戸惑いながら聞いた。
「何でって?そんなの直接言いに来たんだよ。」