第8章 私の初恋でした
そんな女が、顔を少し赤らめながらこっちを見た。
一目でしずくに決めた。
(西条家…。)
悟は顔合わせが終わると、すぐにしずくの書類を見た。
高専に所属しないで、独自に呪術師の活動をしている家紋だ。
その為古い歴史はあるが、御三家ほど有名では無い。
今更御三家との繋がりを待とうとしている訳は無いだろう。
きっと呼ばれたから、来たのだろう。
すぐに悟は西条家に婚姻の申し入れをすると、意外にも断られた。
やはり、深い意味があって、しずくが来た訳ではなさそうだ。
(…それにしても断るか?普通……。)
あんなに顔を赤らめて、こっちを見ていたくせに…。
悟はしずくを思い出してイラッとしながらも、足はしずくの元へ向かって行った。
岐阜の山側にあるしずくの家に着くと、その大きな門を悟は見上げた。
呪術師の家門は何処も似たり寄ったりだ。
独特の雰囲気があり、近隣の住人からは何の家系か分からず、疎まれているだろう。