第2章 離婚して下さい
「…ふーん…。」
離婚か愛人ね。
愛人を作ると言えば、僕が離婚に応じると思っているのだろうか。
しずくが愛人を作って結婚生活を持続させる。
別に悟にとってはたいした事の無い条件だった。
悟はトントンと指で自分の膝を叩いた。
……何か、まだこの目の前の女は隠している様な気がする。
愛人を作る事を許可すれば、今までの様に順応な妻を演じてくれるのだろうか。
どっちにしろ、今はどちらかに答えを出さないとしずくは逃げ出しそうだ。
恋をしたいね…。
それはそんなに人生で重要なモノなのだろか。
自分には無縁の感情に悟は顔を顰める。
そこは悟としずくは同じだと思っていた。
どうやら見誤っていたのは自分の方だった様だ。
そもそも悟は知っている。
この10年、子供を作ろうとしなかったのはしずくの方だった。