第7章 あなたの婚約者です
「…悟…、思ったより、時間は掛からなさそうよ…。」
しずくはチラッと会場を見て言った。
まるで魔女の様だ。
自分の夫を他の女に売るのに、しずくは何も感じていない様だ。
しずくは目ぼしい女の子には、個別に話をする事にした。
悟を女の子達の餌に撒き、周りに気付かれない様に女の子達を呼びした。
「私と悟が離婚するのは知ってる?」
「……はい…いつするんですか?」
「悟の婚約者が決まったら。」
すぐにでも離婚する。
かと言って、付け焼きはでは悟は納得しないだろう。
悟が本心で望んでいる。
しずくみたいに、悟に不要な感情を持たずに彼を支えられる事の出来る若い子……。
そんな子を見極めなくてはならない。
どの子も過度に悟に興味を持ち過ぎている気がする。
自分はそこまであからさまに悟を色目で見ていなかった。
ああ、悟の表情がどんどん曇っていく……。