第7章 あなたの婚約者です
「旅行を…楽しみたかったって言ったら、しずくは今さらだと言うんだろうな…。」
「…………。」
何かあるとは思っていた。
それでも少しの時間位はいい思い出を共有出来るのでは無いかと期待もしていた。
当たり前だけどしずくはそんな事望んでいないと分かっている。
場所が変わっただけで、離婚バトルの続きだ。
(くだらないパーティーが終わったら、たっぷり虐めてやろう。)
(……その時には私は居ないけどね…。)
サングラスを取った悟が何を考えているのか、その表情だけで手に取るように分かる。
しずくは悟を見て、ニッコリ笑った。
さて…始めようか。
泥沼の離婚バトルの続きを。
「お願いだから、シャキッとして。」
明らかにやる気の無い悟にしずくは言った。
「奥さん同伴のお見合いパーティーがイカれ過ぎててやる気が出ない。」