第7章 あなたの婚約者です
奥さんに愛人を作っていいなんて夫婦生活も充分イカれている。
悟の言葉は何も響かなかった。
しずくだって好き好んでこの場にいる訳では無い。
悟や五条家の人間に任せたら、お見合いが成立しないのは分かっているからだ。
ただ、気怠げでやる気は無さそうなのに、妙に色気がある悟にイラッとした。
まぁ、悟はこのままでいいや。
「じゃあ、頑張ろうね。
あなたの婚約者達なんだから。」
そう言ってパーティー会場の扉をあける。
結局は従順な嫁が見つかればいい話だ。
悟にとってそれがしずくである必要は無い。
悟もそう思っているから、こんなイカれたパーティーだって結局来ているんだ。
悟の今後の生活が安泰になる為の必要な行動だ。
悟が断る訳が無かった。
「安心して悟。ここには私より綺麗で若い子が沢山居るから。」
そう言って笑ったしずくの顔に、殺意に近い感情が生まれそうだ。
ああ、お仕置きくらいでは気が済まないだろう。