第7章 あなたの婚約者です
「甘味の…お土産…買ってあるから!!」
悟の服を引っ張りながらしずくは言った。
その言葉で悟はやっと売店から体を離す。
初めからしずくが悟を視野に入れていたと、自分から認めた瞬間だった。
「早くそう言えば良かったのに。」
「💢」
悟の勝ち誇った顔に、イラッとした。
「僕と何処行きたかったの?温泉?観光?」
「…着いて来たら分かるわよ。」
しずくの目論見までは気付いていなさそうだ。
しずくは隣でニコニコしている悟を見ながら、目を細めた。
「……………。」
『五条悟様お見合い会場』
悟は旅館のエントランスに大きく書いてある『歓迎』の看板を見ながら顔を顰めた。
「お見合いは18時からね、それまでは各自自由行動で。」
看板を見ながら黙っている悟にしずくは言った。
ここまで来て、悟は帰らないだろうとしずくは踏んでいた。