第7章 あなたの婚約者です
「何処か出かけるの?」
しずくの大きめの荷物を見て、悟は聞いた。
しずくの行動を気にすると言うより、家にいる時間がずっと長くなっている。
悟は仕事以外は家に居るようにしているようだ。
と言うか、今までは何処に居たのだろうかと、不思議に思う位だ。
「……旅行に行こうと思って。」
この時期になると、しずくは旅行に絶対行っていた。
今度も気にしないで送り出す……。
そんな事はもう思っていない。
「僕も行く。」
悟の言葉を聞いて、しずくは笑みが出そうになる。
絶対行くと言うと思っていたから。
「あなたが来てもつまらないわよ…。」
ワザと素っ気なく言っても、悟はやはり引かない。
どうせ新幹線のチケットも取っているのだろう。
「……荷物無くていいの?」
「その中に入ってるでしょ?」
「……………。」