第7章 あなたの婚約者です
「…それは五条をイラつかせるだけだね…。」
本当に万が一の確率で、悟が気に入る女の子が居るのなら、成り立つが。
また新たな犠牲者を出すだけの様でもある。
硝子に言われて、しずくは急に自信が無くなった。
確かに失敗した時の、自分に返ってくる悟の感情の方が負担が大きそうだ。
「しずくは絶対五条と離婚したいんだよね。」
急に真面目な顔で硝子が確認した。
その硝子の顔を見て、しずくは最近の悟との暮らしを思い返す。
離婚したい気持ちは、悟に伝えた時から何も変わっていない。
むしろ、長期戦になる方が怖かった。
しずくの情欲を満たす様になった悟に絆されたく無かったから。
「うん…離婚したい。」
あれは離婚したく無い悟の一時的な作戦だ。
もう悟に振り回されるのはごめんだった。
しずくが硝子の顔を見て、真っ直ぐ言ったから、硝子はその顔を見てニコッと笑った。