第6章 あなたは私の何を知っているの?
しずくはそんな悟の笑い声に不満そうに顔を歪めた。
「何よおかしい?悟はとっくに枯れてるみたいね…次の奥さんも可哀想…。
若い子が来る予定なのに…。」
「…僕だって君で性欲を処理していなかっただけで、自分でやってたさ。
申し訳ないけど、オカズはしずくじゃないけど。」
全然申し訳無さそうに言って無い。
それぞれあの夫婦生活に満足していなかった癖に、縋るのはお互いでは無かった。
しずくは下着も脱ぐと、しばらく体を動かさなかった。
やはり少し躊躇しているのが、震えている手から分かった。
こんな時でもごめんなさいと言わない。
悟は初めて他の男に抱かれに行った日を思い出す。
あの日もこうして最初は震えていたが、結局その情欲を満たした。
しずくだって、悟に負けず劣らずの頑固者だ。
「……手伝ってあげようか?」
「…結構よ。」
こうして少し煽れば、やっぱりしずくの手は動く。