第6章 あなたは私の何を知っているの?
肩を震わせて泣いているしずくを、しばらく悟は見ていた。
けれども、その姿を見ても、悟がしずくに同情する事は無かった。
「…自分からふっかけた喧嘩の癖に、自分が傷付くと泣き落としするんだな。」
悟の言葉を聞いて、しずくは瞑っていた目を開けて、グッとシーツを握った。
「お互い殴り合うつもりで離婚話に乗ったんだよ、勝手に降りようとするなよ。」
そう言って今度こそ悟はしずくの体を反転させた。
涙目のしずくがキッと悟を睨み上げた。
「自分は無傷で僕と離婚出来るとでも思ってたのか?」
それなら随分と五条悟も舐められたモノだ。
もう一度一から教えないといけないのだろうか。
自分の夫が誰なのかを。
「ほら、どうする?自分でする?僕にしてもらう?
僕はどっちでもいいよ。」
そう言ってローターを見せつけながらしずくに悟は言った。