第2章 離婚して下さい
しずくから出た意外な言葉に、悟は一瞬固まった。
確認する様にしずくを見ると、少し顔を赤らめてどうやらそれが本心なのだと言う事が分かった。
「…悟の言う様にこのままこの家に居ても、確かに何も不自由なく過ごしていけるかもしれない……。
でも一生このままだって思ったら……
私は誰かに恋をしたい……。」
世間一般の夫が妻から恋をしたいと言われたら何と言うだろうか。
怒りが湧いてくるモノだろう。
だけれども悟にもまた、そんな気持ちは沸かなかった。
何故なら悟もまたしずくを愛していないから。
それでも自分達は特殊な夫婦関係だったし、ソレを求めて結婚した訳ではない。
それを理解した上で結婚したのに、今さらこんな事を言われる事にはやはり頭が来た。
「……そんな理由では離婚出来ないよ。」
悟の言葉に今度はしずくがムッとした顔をした。