第2章 離婚して下さい
しずくが言う様に、この10年悟は本当に快適に過ごした。
結婚したからって特に悟の生活が変わる事がない位に、しずくは悟にとって何の影響も無かった。
悟の思惑通り、しずくは特段悟に何かを求める事は無く、子作りの為に呪術師を辞めて、家庭に入った。
悟の世話をするも、妻というよりはそう…女中に近かった。
そんなしずくに悟は大変『満足』していた。
それが若い女がこの生活に入ってくると?
冗談じゃ無かった。
「……本家は黙らせるよ…しずくにもう少し気を使う様にする。」
だから離婚はしたく無い。
「…直接的な理由はソレじゃ無いわ…。」
「…じゃあ何?」
離婚を撤退しないしずくに、悟が苛々してきたのが分かる。
しずくは握っている拳をギュッと更に強く握った。
「……私……恋がしてみたいの……。」