第6章 あなたは私の何を知っているの?
しずくが悟を睨み上げている。
悟は少し驚いた顔をしていたが、またいつもの様に余裕のある笑みを見せた。
「どうやって、その欲求不満を今まで隠してるかと思ってたら、自分でしてたんだ。」
悟はその話を聞いて、面白うそうに笑って言った。
馬鹿にされている感じがして、しずくの眉間に更に皺がよる。
ダメだ。
もう苛々して、これ以上悟の顔を見ていられない。
しずくは悟を押しのけて、玄関に向かおうとする。
そんなしずくの体を、悟は後ろから抱き締めて捕まえた。
「しずく、僕の前で自分でしてみてよ…。」
熱のこもった悟の息が、しずくの耳にかかった。
本当にこの男は最悪だ。
「絶対いや!」
悟を振り払おうとしても、簡単に押さえつけられる。
悟はすぐにしずくの体を抱き上げると、しずくの部屋に向かう。
このパターンももう何度目だろう。