第6章 あなたは私の何を知っているの?
しずくが悟に望んでいた事。
そんな事を掘り返されても何の意味も無いのに。
こうしてまんまと悟の戦略にハマってしまう。
「しずく、そんな風に思っていたんだね。」
悟に辛かった事なんて分かって貰いたく無い。
関係の修復なんて望んでいないのだから、そんな話し合いは拒否したい。
「私が今1番望んでいるのは、あなたとの離婚よ。」
しずくははぁと嫌なため息を吐いて悟に言った。
「しずく、ため息は好きじゃない。」
悟の言葉に顔が歪みそうだ。
もう何も悟に反応したく無い。
こんな問答すら不必要だと言うのに。
「言葉も態度もキツいな…。」
「💢誰がそうさせているのよ。」
ああ駄目だ。
誰か止めて欲しい。
こんなのはただの痴話喧嘩になってしまう。
こうして何でも無い痴話喧嘩で終わらせるのが悟の望みなのだろう。
そんな事で丸め込まれるなんて真っ平ごめんだ。