第1章 Episode 01
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「__私の名前はエルヴィン・スミス。お前の名前は?」
「.....リヴァイだ」
「リヴァイ。私と取引をしないか?__」
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この日、リヴァイは誓った。この男を殺してやる。自分に泥水を啜らせ降らせた男、エルヴィン・スミス。目的を達成さえすれば、奴の命なんてどうだっていい。陽の光を浴びれない不自由な自分が、壁の外の自由を求める男よりも劣っているとは思わなかった。
_「エルヴィン、階段の安全は確認出来たわ。輸送のための馬車も地上で待機してる」
_「あぁ、助かるよ。エミリー、君は先に内地に戻ってナイルと連絡を取ってくれ。私とミケはここを片付けて後から合流する」
_「了解」
リヴァイ達を追っていた調査兵は全員で10名。その中でも最後まで自分達を追跡し、手加減をしていたとはいえ逃げる3人を捕らえた数人の兵士は中々の手練れと見た。把握できる限りの兵士の名前と顔を覚え、情報を集めていく。中にはイザベルを捕らえた女の兵士もおり、エルヴィンと会話した後すぐ地上に繋がる階段へと去っていった。地下街では女は男の慰みものか野垂れ死んで行くしか無い弱い存在だ。そうはなりたくない、生き抜いていたい奴の中にはイザベルのように女としての生活を捨てる者さえいる。凛々しく、堂々と兵士として振る舞うその女を見たとき、リヴァイは言えようのない違和感を感じた。その違和感の正体は分からないが、この女にも何かある、そう直感で感じ取ったのだ。
(とにかく、エルヴィン・スミスに近しい人物を警戒しておいて損はしねぇ。早くあの男から書類を盗んで、地上での居住権を得る。それだけだ。)
「おい、リヴァイ。今から地上に出るってよ」
「...地上って、どんなところなんだろ」
「....あぁ。ここよりはマシだといいがな」