第1章 Episode 01
「_え、リヴァイ?こんな時間にどうして...」
「.....」
その日の夜。ふと思い立ったリヴァイは、一般兵士に嗜好品などを配布している物品供給所へと足を運んでいた。もう外の空気は冷たく冷え込んでおり、夜も更けている。リヴァイはこんな時間に、自分以外にも人が訪れるとは思っていなかった。
「お前は...エミリーか。何故ここにいる」
「それはこっちの台詞よ。今はもう消灯時間で、ここは立ち入り禁止の筈だけど」
「それはお前もだろう」
「私は仕事で来てるの。一緒にしないで」
「....ちゃんと鍵を掛けておけ」
調査兵団にももちろん規律はあり、例えば消灯時間を破ればそれなりの罰則を受けることになる。以前居たフラゴンの隊では、とりわけリヴァイ達は目をつけられ罰則を受けていた。そして今回はエミリーに規則破りを知られ、リヴァイは不貞腐れた様に言い訳を吐く。
しかしその後、エミリーはリヴァイのことは気にせずに、黙々と物品の在庫を調べ始めていた。てっきり小言の一言や二言を言い渡されると思っていたリヴァイは見逃されたと知り、自分が物品を漁るのは彼女の作業が終えてからにしようと待つことにした。仕事をしにここへ来たという彼女は、あの日リヴァイに見せた潮らしい様子は見せておらず、以前同様、兵士としての凛とした雰囲気を纏っている。しかし今はそれを、リヴァイは本当の彼女だとは思えない。
「お前、いつもこんな時間まで仕事してるのか」
「お前じゃなくてエミリーよ。そうやっていつも威圧感漂わせてるから、皆んなに怖がられてるのよ」
「あ?」
「.....」
エミリーはリヴァイ達が入団した時から何かとその兵団での生活を気にかけていた。それは監視という目的もあったとは言え、今まで地下街で暮らしていた彼らが地上での兵団の暮らしに慣れるかという事も気にしての事だった。しかしなかなか、このリヴァイという男は厄介で、彼よりも壁外での経験豊富な兵士達からでさえも一部恐れられていた。