第1章 Episode 01
「エルヴィンのことを知りたいなら、やっぱりエミリーに聞くのが一番じゃない?2人はエルヴィンが班長時代からの付き合いだしねー」
「エミリー....?」
「そう。彼女は私達も知らないエルヴィンの考えがわかるようだし、何よりいつも2人一緒に居るからね」
エルヴィンの命を狙っていた頃は、確かにあの2人を似ているように思うこともあった。実力はおそらく同等、しかし兵士としての強さは違う。方やリヴァイがその背中を追うと決めた男と、もう一方は過去に囚われる憐れな女だ。そもそも何故エルヴィンが彼女を未だ側に置いているのかもわからない。後悔という感情を最も忌み嫌っているような男が、何故あの女を。
「....あいつらは恋仲なのか」
「まさか、違うよ。エルヴィンが仕事とプライベートを混同するわけないだろ。それより、やっぱりエミリーのこと気になってるんじゃないか...!」
「それは違え」
わくわくとした顔で人をおちょくるハンジを諌め、リヴァイ冷たくそう返す。リヴァイとて、エルヴィンが私事を人事にまで持ち込む奴だとは考えていない。何より2人を観察していて、そのような感情が現れることもない。ならば結局、エミリーの実力を認めた上での配置なのだろうか。
「_それより、リヴァイもこれから装備係の研究室に寄らないか?異常なまでの強さを持つ君に試してほしい新作が_」
「...うるせぇ」
その日は結局、ハンジに半ば強引に研究室へと連れられながら悪態をついて一日を終えた。思いがけないストレスに晒され、その日の夜、リヴァイは久しぶり紅茶で一服でもしたいと考えながら眠りにつくのだった。