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露花の恋【進撃の巨人】

第1章 Episode 01




分隊長だったフラゴンが壁外調査で殉職し、次の人事でリヴァイはエルヴィンの分隊預かりとなった。

_「明日には駐屯兵団との交渉に移れると思うわ」
_「あぁ。引き続き頼むよ」

「.....」

壁外調査が終わり一週間後には訓練が再開し、1ヶ月も経てば兵士達も訓練に余裕を見せている。しかし幹部の仕事はまだ山積みなようで、エルヴィンやエミリーといった部隊の運営に関わる兵士たちは忙しそうに駆け回っていた。そんな彼らをリヴァイは観察しながら、昼の休憩を取っていた。


「_あれ、リヴァイ。君もエミリーに御執心かい?」
「....あ"?」

あまりにもずっと眺めていたからなのか、今日も横から面倒臭い相手が冷やかしを入れてきた。ハンジ・ゾエはリヴァイが入団した直後から何かと声を掛けてくる、調査兵団きっての変人だ。リヴァイの実力が認められ、密かに彼に憧れる調査兵がいる一方で、まだ彼の存在を疎ましく思っている者も多い。どちらにせよ、何かと周囲に遠巻きにされがちなリヴァイに軽く声を掛けてくるのは、ハンジぐらいのものだった。

「多いんだよ、エミリーのファン。仕事が出来て立体起動は上手いし、人当たりも良い。おまけに美人ってきたら、その辺の男達は放って置かないよねぇ」

確かに、リヴァイの周辺でも何かと彼女のことを噂する兵士たちは多い。それは男性のみならず、女性の、特に若い兵士からの羨望の眼差しを集めてのことだった。しかし、リヴァイはこの手の話を耳にするといつも疑問に思う。彼女はそんな完璧な人間なのだろうか。あの日、リヴァイが見た涙を流すエミリーの姿は、普段の彼女の様子とはとてもかけ離れていた。

「....俺が気にしてるのはそっちじゃねぇ。エルヴィンだ。」
「え...リヴァイってそういう...」
「チッ....馬鹿は少し黙れ」
「冗談だってば」

リヴァイは隣の奇人を無視して再びエルヴィン達に視線を戻すと、先の壁外調査のことを思い浮かべる。エルヴィン・スミスの考えていることは、よくわからない。今の自分が見えない何かを見据えているその男の見ている景色を、リヴァイは知りたかった。

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