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露花の恋【進撃の巨人】

第1章 Episode 01




リヴァイは賢い。エミリーが何も言わずとも、真実を理解したようだった。あの日、開門前エミリーがリヴァイに隊とは別行動をすると言ったこと、壁外調査の時にその姿を見なかったこと、全ての辻褄が合っていた。なんなら、訓練の時からリヴァイ達の前に姿を晒していたことも、自分たちを監視する彼女を警戒させるように仕向けていたのだと今ならわかる。


「っ....ごめんなさい。私は全て知っていたの。知っていてっ...貴方達を利用した」
「.....」
「貴方から2人を奪ったのは....私も同然よ。私はあの時、貴方達が壁の外に出るのを止めなかった....私のせいなの」

エミリーは瞳に大粒の涙を溜め、後悔の念に押し潰されるように、苦しそうにそう謝罪の言葉を述べる。そこにはリヴァイが考えていた、何の力にも屈しない凛とした女の兵士の姿はなかった。

「....それ以上俺に謝るんじゃねぇよ。鬱陶しい」
「っ...ごめんなさ_」
「仲間を食い殺したのは巨人だ。お前のせいで死んだんじゃない。もう終わったことだ」
「っ....」

リヴァイはそう言って立ち上がると、エミリーが供えていた花の側に自分が持ってきていた2人への花束を置いた。そもそも自分は彼女を許すような立場にない。2人の死は、元を辿ればリヴァイの決断から来ている。それが運命だったのだと受け入れるしかないのだ。


「_エルヴィンが言っていた。後悔をするなと。その意味がようやく分かった気がする」
「え....?」

去り際に、そう言葉を残すリヴァイ。独り言のように小さくそう呟く彼の言葉を、エミリーはよく聞き取れなかった。

「....お前が思っていたより泣き面の似合う女だったってことだ」
「.....」


エミリーが返す言葉を探す間に、リヴァイはその場を立ち去った。調査兵である限りは、仲間の死と向き合い続けなければならない。大切な存在だった人の命が尽きてなお、自由の翼を背負う覚悟を決めた男の後ろ姿を、エミリーはしばらく眺めていた。

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