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思いつき短編たち

第1章 月夜の悪戯の魔法-シャンクス@海賊



はあっ?と呆けるシャンクスを見上げ、女は怪訝そうに眉根を寄せた。

「待てなくて殺したんじゃないの?」
ソレ、と顎をしゃくって道端の偽海兵を指す。

数回瞬きをして、シャンクスはぎょっと目を剥いた。
「女、抱きたさに殺すかっ!バカヤロー!」
「え?じゃあ、なんで」
本気で不思議そうな女に、どういうこった、とシャンクスは呻いた。
「まぁいいわ。ねえ、悪いんだけど、その人達の財布を探してくれる?」
「財布?」
仕方なく漁ると、茶色と黒の財布があった。
あまり厚みのないそれを渡してやると、黒い方に1枚だけ入っていた1,000ベリーを取り出して、ありがとう、と返す。

「娼婦なのか?」
女は変なものを見る目を向けてきた。
「それ以外の何に見えるの?」
そう言われてしまうと、返す言葉が無かった。

「殺さないほうが良かったか?」
金になったかは怪しいが、と男の方へ目を逸らす。
「結果、変わらないわ。ちょっとしつこくて飽き飽きしてたところだから」
紙幣を手に、よろよろと立ち上がろうとするが、ヘタリと座り込んでしまった。

「送ってやろうか?」
掴まれ、と手を差し出すと、呆れた顔で笑った。
「ベッドもない場所で身売りしてる女に、どこへ帰れというの」
「っあー、」
すまん、と謝ると、壁に寄りかかってクスクスと笑った。

「あなた、この街の人じゃないわね。旅人?」
「まぁ、似たようなもんさ」
「船旅なのね。潮の香りがするわ」
言い当てた彼女に、ほう、と感心する。

「さて、どうする?礼をしろと言われたら体で奉仕する以外のものを持ち合わせてないのだけれど...お望みならシャワーを浴びていい?礼儀として。それと、お水をもらえたら嬉しいわ」
我がままを許して、と妖艶に笑う。
「金さえ払えば、か?」
「娼婦ですもの」
艷やかに笑う彼女にふむ、と考える。

「名前は?」
「?🌸よ。あなたは?」
「🌸...シャンクスだ」
「シャンクス...錨の軸のshank?船旅人にピッタリね」
素敵だわ、と慣れた口ぶりで褒めそやす。

ふう、と髪をかきあげて顔を歪める🌸。

「ごめんなさいね。血の匂いが、得意じゃないのよ」
壁際の🌸に手を伸ばす。

「生憎、持ち合わせがなくてな。船に戻れば言い値で払う」

朝には消える男の常套句に、娼婦はくすりと笑った。
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