第2章 #01―マリーゴールド―
―カリンside―
「お兄ちゃん!おかえりなさい!早かったね?」
辛うじて家と呼べる小さな小屋、郵便配達から帰ってきた大好きなお兄ちゃんに向かって飛びつく
お兄ちゃんは15歳まだまだ遊びたい年頃でありながら、郵便局の下っ端として毎日私を育てるために働いてくれている。
この小さな家だってお兄ちゃんの頑張りの結果だ。
10歳の私でもお兄ちゃんの苦労はわかっているから、お手伝いや出来ることは何でもする。
我儘だって言ったことはない……はず。
アルスト「ただいま!カリン!」
お兄ちゃんはすっごく優しい笑顔で抱き締め返してくれる。この瞬間がとっても好き。
血の繋がりがなくても、私たちは家族。カッコよくて、優しくて、大好きなお兄ちゃん。
アルスト「昨日の夜から勤務だったからね、昼に上がれることになったんだ。いい子にお留守番出来て偉かったな。」
よしよしと頭を撫でてくれる
「えへへ!でも今から遊びに行ってくる!」
アルスト「エレンたちかい?送っていくよ」
「ううん!疲れてるでしょ?お兄ちゃんはお家でゆっくりしてていいよ!」
アルスト「そう?じゃぁご飯を作って待ってるからね?」
「わかった!暗くなる前に戻るよ!お兄ちゃん大好き!行ってきます―!」
家を出て少し、街まで降りてくると、エレンとミカサを見つけた。
「おーい!エレン!ミカサ!」
たったったっと駆け寄る。
「あれ?エレン泣いてるの??」
エレン「カリン、別に泣いてねぇし」
ミカサ「カリン、お留守番はもういいの?」
「うん!お兄ちゃん今日は早く帰ってこれたの!晩御飯作ってる間遊んでおいでって!」
ミカサ「そうなんだ。私たちは薪拾いの帰り。一緒に戻ろう」
「うん!」
エレン「言うなよ…誰にも、オレが泣いてたとか……」
鼻をススりながらエレンは言う。
ミカサ「…言わない。」
「でも理由無く泣いちゃうなんて、疲れてるんじゃない?」
ミカサ「1度おじさんに診てもらったら?」
エレン「バカ言え!親父に言えるか!こんなこと!」
するとスっと横から酒臭い兵隊が出てきてエレンの肩に手を回す。
ハンネス「何泣いてんだ?エレン」
エレン「ハ、ハンネスさん!」
ハンネス「ミカサになんか怒られたのか?」
―ブフォッ
エレン「は?!何でオレが泣くんだよ!てか酒くさっ!」