第62章 真夜中の出来事…
青白い顔をしながら、
この世の終わりみたいに頭を抱えた
湊斗が恨めしそうにこっちに言って来て。
「私は…何度も…港斗君の事ッ
お、起そうとしたんだよ?」
彼は…自分が私だと勘違いして、
來翔さんの身体を弄ってたんだと
そう思ってるみたいだったから
さっきの最後の方はそうなんだけど
途中までは…私だったと言う事は
ちゃんと分かって無かった様子だった。
吐きそうと港斗くんが言ってそのまま
おトイレの方にフラフラしながら
向って…。吐いてスッキリしたのか
リビングの方に戻って来たから。
ウォーターサーバーから
水を汲んで気持ち悪そうにしてる
彼に水を飲む様に促した。
『はぁ…すいません…巴さん…』
『俺…今から寝るからさ…、
友坂さんと…一緒にさ…ゆっくり
シャワーでも浴びてさ
お口直しして、スッキリして来なよ?』
ヒラヒラと…こっちに有翔が
手を振っておやすみ~と挨拶すると。
何も無かった感じで、
リビングの脚付きマットレスの方へ
行ってしまって、壁の方を向いて
寝転んでしまって。
こっちからは…何も言わせない感じで
背中を…向けてしまって
すっぽりと毛布を被ってしまった。
視線を…リビングのラグの上で
大の字で鼾をかいている
來翔の方へ向けると。
こっちは…完全に
朝まで起きないなって
そんな感じに完璧に寝てたんだけど…。
じっと…彼が…
こっちに視線を向けて来て。
その…目の奥に…熱い…、熱が…
火の様に…灯っていて。
ゆらゆらと…揺らいでいる…のが…見える。
『あの…巴さん
……良いですか?
僕を…助けると思って…
一緒に…シャワー…浴びてくれますか?』
この…シャワーを一緒に浴びるのは
シャワーを単に浴びるだけ…じゃないのは
これを提案して来た、有翔さんも…
こっちに今…同意を求めてる彼も。
そして…同意を…求められている私にも
もう…分かり切っている…事…なのだが…。
彼を…このままにして置くのも…
気の毒なのは気の毒だし…。
自分も…身体の芯の…熱を…
拗らせてくすぶらせていた…から…。
本音を…言ってしまえば…、
彼が…今すぐにでも…欲しい気分だった。