第61章 2024年4月12日
「だっ…大丈夫…です…
じっ…自分で…、
た…立てます…からっ…」
ぐいっと…有翔の胸の辺りを押して
自分の身体から彼を遠ざけようとするが
かくん…と…膝が折れたみたいに
足に力が入らなくなってしまって。
『……ちょ…、友坂さん?
無理しなくて…いいから、
このままじゃ…倒れちゃうよ…ッ』
そう言って…その場に
崩れそうになった体勢を…、
有翔さんに立て直して貰って居て。
身体と身体の距離を離そうとしたのに、
余計に…彼と自分の身体を
ぴったりと密着させる距離になる。
「すす…、す…すいません…ッ…」
『大丈夫だから…、とりあえず…
落ち着いて…ミナトも…
ライトも…寝てるから…、
今のこれは…見られてないよ?』
そう言って有翔が、自分の
人差し指を自分の口元に
立てて添えると
しぃ―――と静にする様に
巴に対してジェスチャーして来て。
無言のままで、巴は
有翔に対してこくこくと
自分の首を縦に何度も
赤べこの様に降って返事をすると。
勢い良く頭を振った所為で、
今度は頭がフラ…としてしまって。
彼に身体を支えて貰いながら
その場に座る様に促されて。
小さな声で謝りながら
その場に座った。
すぐ目の前に…有翔の顔があって、
その整ったイケメンの顔が
キス距離…ガチ恋距離…にあって。
じっと…こっちを…彼に
有翔さんに見つめられて居て。
ふっと…その顔が緩んで
笑顔に変わって行く。
『…ふたりには、…内緒でね?』
そう…私にだけ聞こえる
小さな声で囁いて来られて。
不覚にも、…ドキドキしてしまって居た。
「……は…い…、ふたり…には、
内緒…で…お願い…しま…す…ッ…」
その場にとどまる様に
有翔が巴の肩をぐっと押さえて
ラグの上に…座って置く様に促して来て。
『友坂さんは…ここに居てね?
勝手に台所…入らせて貰うけど…
お水…汲んで来るから…』
「す…すいません…何から何まで…」
有翔が巴に水を汲んで来てくれて、
隣で眠っている港斗の肩に
脚付きのマットレスの上に置いてた
毛布を掛けてくれて。
巴の隣に…
彼が腰を降ろして座ると。
自分の空になって居たグラスには
お水…ではなくて…焼酎を注いで。