第61章 2024年4月12日
そんな言い方をされると…
私とこの水嶋運送の
水嶋來翔さんとの間に…、
とんでもない何かがある様な…。
そんな含ませのある…口調で
意味深に…來翔が言って来るが…。
生憎…、私と彼との間には
引っ越しを手伝ってくれた
彼氏である生田港斗君の
お友達…と…言うだけの関係しかない。
『んじゃ、ほな、
俺も仕事に戻らなあかんし。
ここで巴ちゃんと、
ずっとぉ、話しときたいんやけどなぁ。
しゃーないから次ぃ行くわぁ。
ほな、また…夜に…楽しみにしてんで?』
荷物を持って…こっちに
手を振って彼は
嵐の様に…去って行ったんだけど。
周囲からの視線が…痛い程に
私に突き刺さってるのは…、
気のせい…じゃないはず…。
あの人…絶対…わざと…
誤解を招く様な…表現して来たし。
案の定…自分のデスクに戻ると
隣のデスクの田中さんに、
彼氏がいるのに浮気?と
その誤解を解くのに…
貴重な今日の時間を使ってしまって。
仕事を普通にするだけよりも
どっと疲れた感じがするのは
私の気のせいじゃないはず。
ランチにいつも一緒に行く
同僚の2人にも、來翔…君は
うちの女子社員の中でも
イケメンだって噂になってるのに…。
あんなイケメンな…
港斗君と言う彼氏さんがいるのに
二股…なんて、
巴もモテモテだねぇなんて。
ランチも…このあらぬ誤解の所為で
ゆっくり食べられなかったんだけど。
まぁ…今日のお礼が終われば
あの人が家に来ることもないだろうし。
職場の担当は…私じゃないんだから、
あの水嶋來翔って人とも
ここで顔を合わす事も…
この先は…ないだろうけど。
午後の仕事は…滞りなく済ませて、
その日は定時に退勤して
そのまま真っすぐ車で15分の
コストコへと向かった。
プルコギビーフと、
お寿司の詰め合わせと
それから買うつもりにしていた
ハイローラーとケーキを2種類と
シュリンプカクテルをコストコで買って。
それから…家の近くのスーパーで
カルパッチョサラダにする
お刺身の盛り合わせを買って。
必要そうな物を買い足して、
巴はテラスハウスへと帰った。
ハイローラーはそのまま
家にある四角い白皿に
綺麗に見栄え良く盛り付けるだけだし。