第50章 劇場型アクアリウム átoa
熱帯魚を飼ってた人なら
お掃除係に水槽に入れていただろう。
コリドラスや、オトシンクルス
ヤマトヌマエビやセルフィンプレコ
イシマキガイがお掃除に
勤しんでいる姿を観る事が出来る。
「コリドラスピグミー…可愛い…な」
『どれの事ですか?』
『あの身体に黒いラインが入った
ヒゲが生えたみたいな顔の…』
「巴さんって
熱帯魚飼ってたんですか?」
『昔お母さんが知り合いから
増えすぎたプラティを貰って
飼ってたりとか…したけど…ね…。
後は世話をしないくせに…
水槽と道具だけ買って来て…
丸投げして来た…元カレ…とかね…』
いい感じに…水草も育って来て
水槽として落ち着いて来た頃に。
ゲームセンターで…雄介さんが
小さいボトルに入った
2cmぐらいのフグを取って来て
これを入れろって言って帰って来たんだけど。
そのアベニーパッファーとか
そんな名前の黄色い身体に
黒い斑点がついた小さいフグを
水槽に入れた途端に…
雄介さんのお家の水槽は…
滅茶苦茶になったって言う…
悪夢みたいな思い出があるんだけども。
『何か…育てますか?
その…あそこにいるグッピーとか…』
「グッピーとネオンテトラなら
一緒に水槽で飼えるよ。
コリドラスも…うん、水槽…
お家に…あっても…良いかもね…」
『巴さんこっち…見て下さいよ
ピラニアがいますよ、ピラニア』
グッピーとかカージナルテトラみたいに
身体がカラフルな熱帯魚が
いるエリアなのかと思って居たら
黒い…身体をしたピラニアが居て。
昔…スマスイとか…
海遊館で居たのって…
こんなに大きかったっけ??
『ピラニア大きいですね』
「こんなに大きいピラニア
見た事無いかも知れない…」
しばらく二人でピラニアの
水槽を眺めていたんだけども。
そのカラフルな世界を抜けた先には
ブルーのライトに包まれた
円形の空間が広がっていて。
海の中の世界に迷い込んだみたいだ。
さっきのエリアは淡水魚ばかりだったけど、
このエリアには海水の魚が展示されていた。
小さな円柱の水槽が大きさの違う物が
そのエリアの中に点在している。