第34章 神戸北野ホテル
『あ、ここですね…302号室』
ドアノブの上の鍵穴に
アンティーク調のルームキーを差して。
彼が…首を傾げている。
「港斗君…どうかしたの?」
『いや…何か…ドアの鍵が…
あ、開きました!』
ガチャ…と…鈍い音を
立てながら鍵が回って
ドアのロックが解除される。
お部屋は…赤を基調にした、
置かれている家具も
アンティーク調で
ヨーロッパのお城の1室にでも
宿泊するかの様な気分にさせてくれる。
「あ、ハリウッドツインだね?
良かったの?ダブルの部屋じゃなくて」
彼は…同じベッドで寝たがるから
ハリウッドツインのお部屋よりも、
ダブルのお部屋の方が好きなはず。
それなのに…予約してくれていた
お部屋は…ハリウッドツインに
ベッドが配置されているお部屋だった。
『巴さんが仰る通り、
僕の好みはダブルの部屋なんですけど。
北野ホテルのダブルは…その…
このタイプ以外のお風呂が…
ちょっと…2人じゃ入れなくて』
「お風呂で選んだって事?」
『はい、そうなんですよ。
ダブルでお風呂がこっちなら
そっち一択でしたけどね~』
そう彼が言って居て、
ちなみにこのお部屋の
ルームタイプを彼に聞いてみたら。
デラックスバスツインだと言う事で
このお部屋の売りは…
要するにデラックスな…お風呂
…と言う事になる。
『巴さん…まだ
ナイトデザートビュッフェの
予約の時間まで、時間がありますし。
明るい時間に…お風呂入りましょうよ~』
彼が…今日の為に…
ある物を…用意していると言うので。
リュックから出て来た
ピンク色の液体が入ったボトルを
港斗に差し出されて受け取った。
ここのお部屋の売りの
デラックスバスを見る為に
バスルームへと、
そのピンクのボトルを持って
彼に背中を押されて移動する。
『さぁ、巴さん
このお部屋の自慢のお風呂に
到着ですよ~。はい、
ドア、オープーン!!』
ガチャと…彼が
バスルームのドアを開いて
その内部を見せて来る。
白を基調にしたバスルームは、
お部屋の雰囲気とマッチする
アンティークは雰囲気があって。
半円形の形をした、
可愛い洗面台の上には
お姫様が使ってそうな
楕円形の白い彫刻がされた
枠にハマった鏡が設置されていて。