第27章 城崎温泉の…夜
『巴さん…、ここ…
こうされてるだけで、
そんな声が…出ちゃってるんですか?』
こんな事位で、こんなに喘いでるの?と
そんな風に聞かれている様な
その彼の言葉に…、巴は
思わず恥ずかしくなって来てしまって。
「んんぅ…だって…ぇ…、
港斗…君…に…、触られる…所
ぜ、んぶ…気持ちいい…んだもんッ
声…勝手に…出ちゃう…の…ぉ、あぁん」
ほんのちょっと…軽く…肌を
その手の指先でなぞられたり、
キスを…軽くされたり…、
チロッ…と舌を這わされるだけで。
たったそれだけの事で…、
いつも以上に…気持ち良く
なってしまって居るのを…
巴は自分自身でも自覚していて。
『僕に…触られるのが…、
気持ちいいって事…ですか?』
こっちの顔に掛かって居た
前髪を…彼の手が
その下に隠れている額を
出す様にして持ち上げて行って。
普段は…隠れている額が露わになる。
コツン…と…彼が私の額に
自分の額を合わせて来て。
その大きな手が…ギュッと
顔を左右から挟んで来る。
『巴さん…は、僕に…
どれだけ…巴さんの事を
好きにさせたら気が済むんですか?
そんな可愛い事言われちゃったら、
もっと…巴さんの事が
好きになっちゃいますよ…?僕』
「だ…って…ぇ…、そうなんだもん…」
自分が…思ってるままの事を
感じてるままの事を
彼に伝えただけの事なのに…。
「今日は…、嬉しかったの…
この…素敵なお部屋もだけど、
私…兵庫県民だけど…、まともに
外湯めぐり…した事無かったから…ッ」
『今回は…冬ですけど、
また…通りには桜並木もありましたし
春の城崎も良いと思いますよ?
夏は夏で確か、花火やってますよね?
良いじゃないですか。泊まりたいって
思う旅館も沢山ありますし…、
また…一緒に来ましょうよ。城崎温泉』
こっちがからガバッっと
彼の身体に抱きついて。
スリスリと自分の身体を彼にすり寄せた。
「うん、また…来たいな…城崎」
『いつでも…来れますよ?
巴さんのあのお金ありますから。
次の週末でも…泊まりたい
部屋さえ、押さえられるなら。
来ようと思えば来れますし』
この彼がこう言うと…
本当にまた来週も城崎温泉に
連れて来てくれそうだから…。