第27章 城崎温泉の…夜
気を付けて下さいねと
何故か…男湯と女湯に
別れる前に念押しされてしまって。
何の事だろうと…疑問に思いながら
女湯の暖簾をくぐると。
外観もこじんまりしてたけど、
どっかの小さい旅館の
大浴場と言う名前の中浴場の様な…。
そんな感じの脱衣場で。
その先も…数人が入れば
洗い場も満員になりそうな感じで…。
シンプルな木製の
内風呂があるだけだったのだが。
気を付けて下さいねの意味を…
この湯に浸かって理解したのだが
見た目以上に…湯船が深くて
一瞬…焦ったのと…。
他の外湯…よりも温度が高い…ッ。
温泉の温度で驚いて。
その深さで驚いての
2段構え…だった訳で…。
湯に浸かった以上の…
疲れを感じたのは感じたけど
熱い温度の温泉のお掛けで
身体は真冬でも暑い位だ。
『僕、柳湯が好きなんですよ、
深さも…良い感じで、
熱めのお湯も好きなんで…』
確かに184cmの彼には
丁度いい深さなのかも…?
『さ、巴さん。
めでたく城崎の7つの外湯も
フルコンプ出来ましたし、
今日の締めくくりは…
部屋にあるあの五右衛門風呂に
一緒に浸かりましょうか?』
家族とか友達との旅行なら
わいわい言いながら
一緒に温泉を楽しめるけど。
カップルだと…温泉には
一緒に入れないからなぁ。
「うん。…あの…お部屋にある
あの、お風呂楽しみだね」
地蔵湯の近くにある
コンビニに寄って、
飲み物とかを買ってから
つばき乃の特別室に戻って来る。
部屋の中央にある
五右衛門風呂にお湯張りをしながら。
お夕飯の時に食べられなかった
カットフルーツと、
みなとやで買ったいちご大福を
温かいお茶を飲みながら頂いて。
『いやぁ~、楽しみだなぁ…。
巴さんの浴衣姿…』
そう彼がこっちを見ながら
嬉しそうにして言って来て。
私は浴衣を着てるのに、
何を言ってるんだろうと
思いながら巴が聞いていると。
『そっちの浴衣じゃなくて、
寝巻にする方の…温泉浴衣ですよ』
温泉浴衣と言うのは…
今着ている外に出るための
色浴衣とは違って。
寝る為の寝巻の様な物で。
旅館…だけじゃなくて、
ホテルとかでも
大浴場があるホテルなら
備え付けてあることが多い。