第27章 城崎温泉の…夜
ここの温泉は…外観も
豪華絢爛な…雰囲気だったが。
一歩中に入ると…、京都のどこかの
お寺とか…に来たみたいな。
天井が…金色の背景に…
それぞれに…
四季折々の花が描かれている
花天井になっていて。思わず
しばらく…上を向いたままで
花天井に見入ってしまって居て。
湯上り美人が描かれた
襖絵…なんかも…あったりして。
正しく…御所…を
思わせる内観をしている。
『凄いですね、御所の湯
ここだけ他の外湯と
全然ジャンルが違いますもんね』
「これだけ豪華だったら、
お風呂がどんな感じなのか気になる…」
そんな話をしながら、
男湯と女湯に分かれる場所で
港斗君とはしばし…のお別れをして。
巴は女湯の暖簾をくぐった。
脱衣所で着ていた服を脱いで、
ガラガラと…浴室に続く
戸を開いた時に…異様に寒くて。
「ひゃああっ、何?寒っ…」
その先に広がる光景に…
寒さの理由がはっきりとしたのだが。
この御所の湯の湯船は、
巨大な1つの…露天風呂になっていて
奥の庭園から…伸びて来ている湯船は
洗い場の方にも…続いている。
洗い場の方から…奥を見ると。
温泉の先が滝になっているのが見えるし
滝が流れ落ちる音も聞こえて来る。
天井もかなり高くて。
開放的な空間になっている
三角屋根の部分は…
大きなガラス張りで。
洗い場側は…内湯の扱い
になるのかも知れないがそのまま
岩風呂の湯船の中を移動して
外の露天風呂に出て行くことが出来る。
奥の滝はライトアップされていて
今の時間は幻想的な雰囲気だが
また明るい時間に見ると
滝の後ろに広がる木々と…山の
景観を一緒に楽しむ事が出来るのだろう。
「寒いぃいいっ…掛け湯して
お風呂…入らないと…凍えちゃう…」
湯船に浸かっていると…
大学生位の女の子のグループが
露天風呂で楽しそうに話をしていて。
この御所の湯には恋愛成就の
ご利益があるとされているらしく。
若い女の子に人気の外湯の様で。
確かに利用客に…10代20代の
若い女性が姿が多く見られた。
「恋愛成就の…湯……か。
既に…成就してると言うか…
恋人同士…でも…ご利益あるのかな…?」