第22章 2024年1月2日~1月8日
そう言って自分の手の封筒を
彼の方に…押し付けると。
医療事務をしてる彼は
纏まった金額の札束を
扱う事があるのか
手慣れた手つきでお札の束を
扇子の様に綺麗に広げると。
銀行員さながらにお札を数え始めて。
『巴さん…これ、
昨日の痴漢の親が押し付けて来た
示談金ですよね?150万円』
「こんなに沢山お金…お尻
触られただけなのに受け取れないよ」
『ダメですよ、巴さん。
僕の巴さんのお尻を無許可で
許しもなく触って置いて、
進学校のエリートの息子の
将来が守れるんだったら、
これでも安い位ですって。
医者か何かの息子だったのかもですね』
もう…一切の連絡もしない…で
受け取ったお金だったから。
受け取らされた…感あったけども。
多すぎますと…返したくても
返さないお金ではあるんだけど…。
「ど…どうしよう?これ…?」
『だから、それでも
安すぎるぐらいですって。
あの息子が医者になったら
もっと稼ぎますから良いんですって。
あ、じゃあこのお金で
あのベノアリゾートの
一番いい部屋にしましょうよ』
あぶく銭は身につかない…
悪銭身に付かず…って言うけど。
確かにこのお金を元手にして
お金を増やしたいとも思わないし、
自分の口座に入れて貯金したいって
そんな風にも…思えない。
「こんなお金で申し訳ないけど、
能登の地震の義援金にしようかな…?
私がズルズル使うより、よっぽど
お金も喜ぶだろうし…」
『でも…その中には、
巴さんに
不快な思いをさせた分の
慰謝料も含まれてるんですし、
残さずに綺麗にさっと使うのが
良いかも知れませんね…?』
こんな大金ってこの部屋に
来る前に慌ててたけど、
彼が気にしなくていいと
はっきりと言い切ってくれたから。
こっちも落ち着いて冷静になれたな…。
「ごめんね?港斗君…」
『お礼のキスとか…?』
そう言って自分の頬を
ツンツンと突いてキスを要求して来て。
お礼のキスをした後は…
彼に掴まってしまって
朝から腰が砕けそうなキスをされてしまう。
もっとキスがしたそうにしてる彼に
また後でと言って自分から
彼を引き剥がして、自分の客間へ戻った。